間取り図作成方法について その2

作図ソフト

間取り図の下図描きを現場で行い,事務所に戻ってからパソコンで作図することが多いと思います。学生の頃はドラフターやT定規と三角定規で平面図を描いていましたが,最近では鉛筆を持つ機会も減ってきました。鉛筆よりマウスを持っている時間の方が圧倒的に長くなっています。

パソコンで間取り図を描くために必要なソフトですが,主に以下にあるものを試してみました。

  • 間取り図作成専用ソフト
  • CADソフト
  • ドローソフト

最近ではスマホやタブレットのアプリで写真を撮りながら間取り図を描くこともできるそうですが,まだ試したことがありません。機会があれば試してみたいと思います。

間取り図作成専用ソフト

間取り図を作図するためのソフトにはフリーソフトから,有償のソフトまでいろいろな種類があります。フリーソフトは基本的な間取り図しか描画できないものが多いので,仕事で使う場合にはある程度の金額を出す必要があります。

専用ソフトのメリット

  1. 作業スピードが圧倒的に早い
    家具や部屋のパーツがあらかじめ登録されており、ドラッグ&ドロップで配置できる。
    → 一般的なCADやIllustratorより短時間で完成。
  2. 初心者でも扱いやすいUI
    マウス操作中心で、専門的なコマンド入力不要。
    → 建築知識が浅くても形になる。
  3. 建築用の寸法単位に対応
    mmや尺など、日本の建築業界に合った単位設定ができる。
  4. 図面の精度が業務レベル
    スケールが正確で、不動産広告・見積用・確認申請用(対応ソフトのみ)にも使える。
  5. 家具や建具のライブラリが豊富
    既製サイズのドア、窓、キッチンセットなどが揃っている。
    → 1から描く必要がない。
  6. 印刷や画像出力が簡単
    チラシ・Web掲載用のデータをワンクリックで作成可能。

専用ソフトのデメリット

  1. ソフト代が高い場合が多い
    数万円〜数十万円が相場。サブスク型も増えており、長期利用だとコストがかさむ。
  2. 表現の自由度が低い
    用意されたパーツやスタイル以外は作りにくく、独自デザインが必要な場合は制限がある。
  3. 他ソフトとの互換性が弱い場合がある
    専用形式のファイルは、CADやIllustratorで直接開けないこともある。
  4. 建築法規や構造計算には対応しない場合が多い
    あくまで「間取り図作成」専用であり、構造設計や法規チェックは別途必要。
  5. 操作を覚えるまで少し時間がかかる
    簡単とはいえ、ショートカットや設定を知らないと効率が出ない。
  6. 3D表現が弱いソフトもある
    2D間取りが得意でも、内観パースやウォークスルーは非対応なことが多い。
  7. アップデートに対応していない場合もある

CADソフト

CADソフトのメリット

  1. 自由度が非常に高い
    線を1本ずつ描くので、特殊な形状や規格外サイズの建具・家具も正確に表現できる。
  2. 精度が高い
    mm単位での作図が可能。寸法線・補助線も自由に使えるので建築業務に耐える。
  3. 他ソフトとの互換性が良い
    DXFやDWGなど業界標準フォーマットで保存可能。
    → 建築士、施工会社、広告業者とデータ共有がしやすい。
  4. 建築設計全般に応用できる
    間取りだけでなく、立面図・断面図・構造図・設備図など幅広く描ける。
  5. 自分のスタイルを出せる
    線の太さ、文字フォント、表現方法をカスタマイズ可能。
    → オリジナル性のある図面を作りたい場合に強い。

CADソフトのデメリット

  1. 習得に時間がかかる
    コマンド操作や作図ルールを覚える必要があり、初心者にはハードルが高い。
  2. 間取り作成に時間がかかる
    一から線を引いて建具を作図するので、専用ソフトのように「ドアをドラッグで置く」感覚ではできない。
  3. 家具や建具ライブラリが少ない/自作が必要
    既製パーツがない場合が多く、ブロックや図形を自分で登録しないといけない。
  4. PCスペックを求められる場合がある
    特にAutoCADなど重量級ソフトはメモリやグラフィック性能が必要。
  5. ソフト代が高いことも多い
    AutoCADなどはサブスクで年間十数万円かかる。
    (無料のJW-CADなどもあるが、サポートは弱い)
  6. 不動産広告向けには不向きな場合がある
    図面としては正確だが、色付き・アイコン付きの「見栄えのする間取り図」に仕上げるには加工が必要。

ドローソフト

ドローソフトのメリット

  1. デザインの自由度が高い
    線の太さ、色、グラデーション、アイコンなどを自由に設定でき、広告映えする間取り図を作りやすい。
    → 不動産チラシやWeb用に「見栄え重視」で仕上げるのに最適。
  2. グラフィック要素を組み合わせやすい
    写真、アイコン、文字装飾、ロゴなどを同じファイル内に配置可能。
    → CADや専用ソフトで描いた間取りを取り込んで「仕上げ加工」に使いやすい。
  3. 印刷業界との相性が良い
    EPSやPDFなど、印刷用データに強い形式で保存できる。
    出版・広告用のワークフローにスムーズに組み込める。
  4. 習得が比較的簡単
    CADほど複雑なコマンド操作はなく、直感的に線や図形を描ける。
  5. 低コストな選択肢がある
    有料のIllustratorは高いが、無料のInkscapeでも基本的な作図は可能。

ドローソフトのデメリット

  1. 寸法精度に弱い
    ベクタードローは「デザイン重視」なので、建築用のスケールや寸法管理は不得意。
    → 正確な設計図としては使えない。
  2. ライブラリが乏しい
    建具や家具の既製サイズパーツは標準でなく、全部自作する必要がある。
  3. 作業効率が悪い場合がある
    四角形や線を手で描いていくので、専用ソフトに比べてスピードは劣る。
  4. 業務的なデータ互換性が低い
    CAD形式(DWG/DXF)とのやり取りは苦手。
    → 設計者や工務店とのデータ共有には向かない。
  5. 法規・建築チェックには不向き
    あくまで「見た目の図面」なので、建築確認や施工用には利用できない。

間取り図作成ツール比較表

項目専用ソフト(ホームズ君、マイホームデザイナー等)CADソフト(AutoCAD、Jw-CAD等)ドローソフト(Illustrator、Inkscape等)
得意分野間取り図のスピード作成・広告用正確な建築図面・業務利用広告・印刷用の見栄えデザイン
操作性直感的(ドラッグ&ドロップ中心)習得に時間がかかる(コマンド中心)比較的簡単(デザイン感覚で操作)
寸法精度高い(建築単位に対応)非常に高い(mm単位で正確)低い(あくまで見た目重視)
ライブラリ豊富(ドア・窓・家具など揃っている)少ない(自作ブロック必要)ほぼなし(全て自作)
デザイン性標準的(機能内で制限あり)シンプル(設計図向き)高い(自由な色・装飾・加工可能)
データ互換性限定的(独自形式が多い)強い(DWG/DXFなど業界標準)印刷系に強い(PDF/EPS/SVG)
用途不動産広告・提案資料建築設計・確認申請広告・チラシ・パンフレット
コスト数万円〜数十万円/一括 or サブスク無料(Jw-CAD)〜十数万円/年(AutoCAD)Illustrator:月額制、Inkscape:無料
学習コスト低い(短期間で習得可能)高い(専門知識が必要)中(デザイン経験あれば早い)

まとめ

いろいろなソフトを使ってみましたが,不動産販売用にはドローソフトが一番良いような気がします。専用ソフトはアップデートが終了し,最新のOSでは動かなくなってしまうこともありました。CADソフトでは,一般の方に分かりやすい間取り図というより,大工など建築専門の方向けの図面を描くのに特化していると感じます。

ドローソフトを使えばデザイン性が高く,個性的な間取り図も作図可能です。もし,間取り図を描くことを始めたいと思う方は,ドローソフト系で初めて見るのいかがですか?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です